事業主T社長から連絡が入りました。
「建築確認がおりました。明日現地に建築概要の看板を立てます。施主の名前も入りますので、ご承知おき願います。」
「もう、工事始まるのか・・・早いなぁ」
これを聞いた翌日、家族を引き連れて、真っ先に近隣に工事迷惑のご挨拶に行きました。
近隣への挨拶・・・
これは常に先手先手を打って、リスク回避に努める必要があります。
せっかくの楽しい家づくり、これからの新しい生活に夢ふくらませているというのに、ご近所とのトラブルで思いっきりブルーになる人が多いようです
近隣事情は、事前に入念なリサーチをしておくのは当然のことですが、工事中の迷惑が一番トラブルの元になります。
クレームが出てから謝りに行ったのでは、時すでに遅し。
そうなるとお互いが不満を持ち合い、表面化するかどうかは別として関係は泥沼化です。
先手先手で、これでもかというくらい挨拶しておいて、ソンすることはありません。
「工事中の迷惑挨拶は業者の仕事だろ?」
と考える方もいらっしゃるでしょう。
もちろん施工業者の方にも挨拶はしてもらいます。
でも挨拶の趣旨が異なります。
施工業者は、
「工事期間中に近隣とトラブルなく、自分たちの工事ができるように」
挨拶するのです。
一方施主は、
「工事が終わった後、近隣とトラブルなくそこに住めるように」
挨拶します。
そこに住むのは誰なのか?
今後、長く近隣の方と顔を会わせるのは誰なのか?
そう、業者はそこには住みません。万が一近隣とトラブっても、それは一過性のものです。
工事が終われば、そのうっとおしい近所の人と顔を会わさなくてもいいのです。
それを考えれば、施主が真っ先に挨拶に行き、少しでも好意形成を図ることは必然でしょう。


」
前回の続きです。
私は今回が2回目の住宅ローン。
1回目のローンは無知で何もわからぬまま契約しましたが、今回はその教訓をフルに生かし、FP学習の成果と、我が家のライフプランを具体的にイメージし、知識武装した上でローン選定に臨みました。
自分の経済洞察力を、ライフプラン力を試してみたい、その欲望もあって「変動金利」の選択となりました。
ただしこの選択は前回も述べたように、計画的な繰上返済を強い意思で実行しなければなりません。
繰上返済という仕組み、手段は任意です。
毎年100万づつ繰上返済しようと決めていても、
「今年は苦しいし、旅行も行きたいから止めとこう・・・
」
も可能です。強制ではないのです。
しかしこれでは変動金利を選んだ意味がありません。
変動で借りた場合と、固定で借りた場合の月々の返済額の差を貯金し、それを毎年繰上返済するのです。
これができない方は、はじめから固定を選ぶべきです。
その人の意思の強さに不安があるので、FPやアドバイザーは固定をおススメするのです。

この時代にソンしない住宅ローン商品は何なのか? 前回の続きです。
さんざん迷ったあげく私の出した答えは・・・
驚かないでください・・・
誰もが選ばないアノ商品・・・
今の時代背景では、専門家やFPも真っ先に否定する選択・・・
そう、変動金利を選びました
理由は以下の通りです。
<理由1>
金利は上がるかもしれない。しかし、上がっても超低金利水準であることに違いはない。バブル期並みの高金利には今後ならないだろう。
<理由2>
金融規制緩和が進んでいる。
異業種や外資の住宅ローン参入により、金融機関同士の競争が進み、商品選択の一番の基準である、金利について市場競争原理から抑制がかかる。
一番の期待は郵政公社(ゆうちょ銀行)の住宅ローン参入である。
あれだけの母体が住宅ローンに参入してくれば、銀行は顧客を奪われないように自助努力するしかない。
一番の防衛策は金利の抑制だろう。
<理由3>
住宅ローンの商品そのものが増えている。
単なるローンだけでなく、フラット35をはじめとした証券化ローンや、少し趣旨は異なるが、欧米で盛んなリバースモーゲージなど、今後ますますローン商品が多様化するだろう。
そうなれば、理由2で述べたことと同じで市場競争原理により、金利は抑制されるハズ。。。
<理由4>
近年、経済は上向きつつあるが、急速な少子高齢化による労働力(国力)の低下は避けられない。
これまでの高度経済成長期のような時代とは国民構造も違えば、意識も違うため、長い持続的な景気回復に疑問を持たざるを得ない。
したがって金利は一時的に上昇するも長続きせず、降下するだろう。
さらにバブルを経験した日本国民は、仮に好景気を迎えたとしても、浮かれるコト、財布のヒモを緩めるコトを自粛するだろう。このことは持続的景気回復のキーである個人消費の回復力が弱いことにつながり、将来的にバブルのような高金利時代は二度と来ないと考える。
<理由5>
変動金利はどんなに急激に金利が上昇したとしても、ローン支払い額は「上限1.25倍まで」という仕組みになっているので、繰上返済を効果的に組み合わせることで、総返済額は全期間固定より安くなるとシミュレートできる。
これは最悪のシナリオでシミュレーションしており、金利が低水準のままなら断然変動金利の方がおトクな計算だ。
したがって超低金利の今の段階で余裕のある返済から貯蓄に回し、来たる金利上昇に備え、こまめに繰上返済をした方がよいと判断した。
これはあくまで私個人の私論であり、我が家のライフプランに当てはめて検討した結果です。ほかの人にはおススメしません。
仮に私がFPとして、住宅ローンの相談を受けたならライフプランを描きやすい長期固定を奨めるでしょう。
他人にアドバイスするときは責任がついて回りますので、最もリスクの少ない、差し障りのないプランを提示することになります。
今回の選択は我が家の問題です。
少々のリスクを犯しても、大きな効果を得られるプランを選択しました![]()


何度も言ってますが、我が家は建築条件付の土地を契約しました。
3ケ月以内に建物の契約を結ばなければ、すべて白紙撤回となります。
私と事業主T社長に残された時間は僅かでしたが、工事請負契約書の中身を十分に確認させて頂き、いよいよ契約締結の運びとなりました。
この土地を契約する際に様々なリスクを考え、その時点ではどうしても消えなかった2点の不安
「ビルダーを選べない問題→この事業主を信用できるか?」
「つなぎ融資の問題→二重ローンに対する心理的負担」
をすっかり解消した状態で契約に臨めることは大いに満足でした。
私は「つなぎ融資」はなくなりましたが、予算オーバーに違いはありません。
しかし、どんな家づくりでも予算オーバーは高い確率で発生します。
その予算オーバーに納得ができるかどうか?
当然その予算オーバーに見合う大きな成果が得られるかどうか?
を判断して合意を得ます。
私の場合、T社長に対する「絶対的信頼」という大きな成果を得られたことで、この予算オーバーを受け入れました。
T社長は前回私が言った地鎮祭、上棟式のご祝儀の件も気にして頂いてたようで、
「ウチで用意します。」
と言ってきました。
さすがに私も前回はそう言ったものの、ご祝儀というものは、施主が神主さんや職人さんにこれからの工事の安全祈願や出来映えへの期待を込めて渡すものであるという認識がありましたので、折半することにしました。(予算ひっ迫の都合上、半分は出してもらうことに・・・
)
また契約書に貼る印紙についても、我が家の家計および私の金銭感覚のシビアさを知ってか、私に印紙税の負担がかからない方法を提示してくれました。(細かくは説明しませんが、私も会社でたまに使う方法で、合法です。)
家のような大きな買い物をする場合、印紙代もバカにできなくなってきます。
家づくりのトータルの予算からすれば微々たる金額ですが、この浮いたお金で例えばパソコンのプリンターが買えたりするわけですから・・・
契約期限まで2日を残した大安の日、久しぶりに登場の不動産仲介パートナーK氏立会いのもと、ついに工事請負契約を結びました。
私が惚れたこのすばらしい土地と出会ってから、100日以上経過しての契約でした。

ここに来て180万円という大幅な予算オーバー。
ここまでシビアな金額の話をしてこなかった私のミス・・・前回の続きです。
この状況になると、普通では
「T社長、何考えとんじゃ。最初から言ってるだろ!
」
事業主T社長も、
「はぁ?何でウチが諸経費のことまで考えなあかんねん?そんなの総予算とは別に決まってるやろ
」
と心の中で思うものですが、私とT社長は違いました。
何とかしてこの問題をクリアしたい。双方がそう思っていたと思います。
お互いに契約不成立の選択肢は考えていませんでした。
「どうすれば・・・」
そして、T社長が別の視点から以外な助け舟を出してくれるのです。
「リックルハングさん、つなぎ融資の負担はどれくらいありそうですか?」
「えっ、つなぎ融資?そうか、そんなんあったな・・・いわゆる「二重ローン」の時期が出るんだったな。」
「ええーと、ちょっと待って下さいよ。○○万円です。」
「工事原価が非常に厳しいのは先ほどから何度も言った通りです。いい仕事をさせて欲しいので、業者をこれ以上たたくことはできませんし、やりたくありません。工事以外でご協力できるとすれば、つなぎ融資です。」
「と言いますと・・・どういうことですか?」
「つなぎ融資の期間はどなたでも家計が苦しくなります。そのつなぎ融資を受けなくてもいいようにしましょう。つまり、つなぎ融資の負担○○万円はウチが持つということに。」
「えっ、そんなんできるんですか?」
「土地の決済は建物が建ってからに変更します。建売と一緒です。土地と建物を同時に引渡して、一括決済するということです。」
「・・・」
「今は土地を先に引き渡して、その土地代金をリックルハングさんは「つなぎ融資」されようとしています。それをなくすのです。」
「なるほど・・・」
「ウチもこの土地の仕入れには銀行から融資を受けています。その融資期間が長くなるので、利息を多く払わないといけないんですよ。まあ、今回は建売を企画したと思えば・・・。この方がウチもリックルハングさんもいいんじゃないでしょうか?」
180万円の予算オーバー・・・
半分の90万まではUPを覚悟した。
残り90万歩み寄って欲しいと申し入れたがダメだった。
そのかわりつなぎ融資がなくなる。。。悪くないな。
っていうかスゴい、イイ
だって家のスペックを落とさなくていいんだから。
「土地の所有期間が短くなるので、固定資産税も少し得しますね。ほんの僅かですけどね。」
「うれしいです、T社長。あなたはかけひきの上手な方ではないことを知っています。ここまで歩み寄って頂き、なおかつ我が家の事情を考慮した最善の案を出して下さった。ぜひそれでお願いします
」
私も妻もT社長も、大きな笑みが戻りました。
T社長も笑みは引きつりではありません。本当に喜んでくれている顔でした。
「この人に家を建てて欲しい。」心底思ったのでした。

いよいよ建物の契約段階に進みました。 「ちなみに除外項目に入ってませんが、地鎮祭、上棟式の費用なんかはどうなってますか?」
工事請負契約書の雛形が準備できたので見て欲しいと、事業主T社長から連絡が入りました。
打ち合わせに向かう私の頭には、
総予算がどうなったのか?契約金額がいくらと書かれているのか?
その1点に絞られていました。
そう、私の家づくりは以前述べたように、「見積なき家づくり」なのです。
ここまで具体的な金額を見ていません。
土地契約の時に「総予算○○百万円」と伝えた、それっきりです。
建物のスペックは十分に詰めました。納得しています。
あとは予算・・・
「契約書こんな感じで。。。」
T社長から契約書の案を提示されます。
T社長、自信満々です。
「リックルハングさんの予算○○百万円から、土地代金分を引いた額です。頑張りました。もちろん消費税込みです。」
私は顔がこわばります。
「契約除外項目は何がありますか?」
「TVアンテナ、エアコン、カーテン、引越し・・・など、こちらをご覧下さい。」
と除外項目の一覧を見せられます。
「これに仲介手数料、登記関係費用などの諸経費もかかりますよね。」
「はい」
「私は家づくりの総予算と言いました。TVアンテナ、エアコン、カーテン、引越し・・・そんなものまで含んでいるとは思いませんが、仲介手数料、登記費用などのいわゆる諸経費は私の思う総予算です。」
T社長の顔がこわばり始めます。
T社長は事業主。仲介手数料(土地契約の分)は関係のない話。
仲介業者に支払われるお金、それは分かっています。
しかし施主にとっては、仲介手数料も登記費用も支払う先が違うだけで、家づくりの費用であることに間違いありません。
T社長にもこれらがどれくらいかかるかを事前に伝えていましたし・・・
大事なところです。
私はこのときすでに、T社長とはお互いにハッキリと言いたいことが言える関係を築いていたので、あえてズバリ申し入れさせて頂きました。
「式の費用は入ってます。あとリックルハングさんは神主さんや棟梁さんへのご祝儀を用意してもらいます。。。」
「そうですか・・・T社長からすれば当たり前かも知れませんが、こちらはシロウトです。そんな祝儀が要ることも知りません。見積のない進め方をしてきたので、こういう点のボタンの掛け違いを心配していました。」
「・・・」
「今さら契約しないとか、そんな失礼なことは考えていませんが、いわゆる諸経費部分の約180万円。ここを何とかしないと私は前に進めません。いうなれば、180万円予算オーバーです。」
「・・・」
「180万円値引きして下さいって言っても無理でしょう?仕様変更してこの金額を落とせる余地はありますか?」
「ありません。というかリックルハングさんの予算として、ここまで価格を持ってくるのに四苦八苦しました。最初はもっと高くて。。。とても180万円の余地なんて残ってません。」
T社長かなり困っています。
私も困っています。
頭金やローンの返済額から試算していた予算です。
かなり背伸びしていました。これ以上背伸びしたら倒れてしまいます。。。
こう着した重苦しい雰囲気の中、私が先に妥協策を打ちます。
「180万円の半分、90万円ずつ歩み寄ってもらえませんか?」
「リックルハングさん・・・ムリです。できません。それくらいギリギリのところでやってます。」
T社長、駆け引きの上手な人ではありません。ホントに厳しい価格なんでしょう。
さて困りました。
ここにきて、180万円もの大幅な予算オーバー。
ここまでシビアなお金の話をしてこなかった私のミスでもあります。
見積は作らないと言うT社長に、ゴリ押しでも作ってくれと言うべきだったのか?
先にスペックを決めて施主をその気にさせておいて、建築条件付土地の優位性を利用して、金額を最後に吊り上げる・・・これってT社長の策略?
この人そんなことできるタイプ?
ここまで築いた信頼関係が崩れるのか・・・?
誰もが予想し得る、なんとも不細工なトラブルが発生していました。。。

『耐震強度偽装事件』・・・前回の続きです。
地震で家をなくした者にとって、ハラワタの煮えくり返るような事件です。
「地震をなめとんかぁ〜?」
神戸・新潟をはじめとした被災者の方は、この事件に過剰に反応したでしょう。
私は異常に反応しました。人の5倍くらい。。。
これまでも書いてきましたが、私は震災で家が全壊しました。
そして、そこから人生に対する考え方が大きく変わりました。
震災はあり得ないと思っていたことが、そこらじゅうで起こりました。
それまでの私の持っていた常識の概念が、ことごとく破られました。
「世の中、何が起こるか分からない・・・」
「何があっても家族を守れるようにリスクを排除せねば・・・」
震災をはじめとした、常軌を逸した災害や事件を経験した人は、リスクに怯えるようになります。これは一種のPTSDです。(私自身、それを認識しています。)
ですから家を建てるときは、コストが許すなら、通常の耐震強度の1.2倍くらいの強さで構造計算して欲しいと思っていました。
それが・・・この事件では通常よりも弱く設計していたなんて・・・
シンジラレナイ。。。
しかも、理由はコスト・・・
安全よりも金儲けを優先したのか?
言葉は出ませんでした。
私は家で最も重要なことは「安全(強さ)」だと言ってきました。
見た目の豪華さ、立派さ、カッコよさ・・・よりも見えない安全にお金をつぎ込むことを惜しみませんでした。
次の打ち合わせの日を待たずして、事業主T社長に私の不安をぶつけます。
がしかし、T社長はさらりと言ってのけます。
「真面目にやってるものが迷惑被ってます。建築屋がみんなそうだと思われてしまう。」
「リックルハングさん、もうじき構造計算書はあがってきますので、お見せしますし、お渡しします。ただ、見ても分かりませんよ・・・」
そりゃそうだ。。。ずさんな検査体制だったとはいえ、検査機関が見つけられないような偽装をシロウトの私が見つけられるハズがない・・・
T社長も計算書見てもチンプンカンプンだという。
でも信用してくれ・・か。。。
精神論は嫌いではないが、リアリストで人一倍臆病な私は、裏づけが欲しいタイプ。
でもこればかりは腹をくくるしかないか・・・
第三者に見てもらう手もあるが(T社長も見てもらってもいいと言ってくれている)、もちろんコストがかかる。
このリスク排除の為に必要な投資なのか・・・
「私はこれまでT社長を信用してきた。T社長も私を信用してくれた。だったら問題ないだろ。」
少しの不安を残しながらも、ここまで築いてきた信頼関係を信じることにしました。
「この私の選んだビルダーに間違いはない。」
そう自分に言い聞かせて、いよいよ建物の契約(工事請負契約)へと突入したのでした。

家の構造や間取りなど建築確認申請に必要な決め事は、ほぼ決まりました。
我が家は建築条件付き土地ですので、土地の契約から3ケ月以内に建物の契約(工事請負契約)を結ばなければなりません。
私と事業主T社長に残された時間はあと3週間。
工事請負契約を結ぶかどうか?
「ここまでは予算内で・・・」と言われたその日、T社長がポロっと口にしました。
「リックルハングさん、基本的には契約してもらえると思っててよろしいんでしょうか?」
「えっ、何でですか?」
「明日、この図面を構造設計屋にまわします。まだ契約してませんので、建築確認申請はしませんが、構造計算にかけないと原価が出ないんです。。。」
「そうですか・・・まあ、仕方ないですね」
「この構造計算、結構お金かかるんですよ・・・契約ボツになったら、ウチ大損なんです・・・」
そういうことか・・・
後で調べたんですが、構造計算だけで最低でも30万くらいかかるようです。
確認申請用の図面もあわせると、さらに40〜50万くらいかかるとか。。。
このT社長、ホントに真面目というか、バカ正直というか、、、駆け引きをしない人です。
普通は心に思っていても、こんなこと言いませんよ。
少なくとも私は、自分の営業活動の中でこれは言いません。
お客さんに足元見られるじゃないですか。。。
ここまでストレートに言われると、こっちも困ります。
「そっ、そりゃ契約締結が大前提です。よほどのことがない限り、白紙撤回はないと考えています。」
「そうですか、安心しました
」
と満面の笑みです。
なんかこういうT社長の態度を見ていると、リスクに怯え、まだ心のどこかに疑いの念を持っている自分が恥ずかしくなってきました。
「よし、俺も真正面からぶつかろう!!」
しかし、その矢先・・・
疑ってかからざるを得ない情報が私の耳に入ってきます。
私の耳だけではありません。
日本中が、ビルダーに対して疑念を抱かざるを得ない事件・・・
『耐震強度偽装事件』
が世間をを騒がし始めたのです。
私の図面がちょうど構造計算にまわされている、ちょうどその時に姉歯一級建築士が逮捕されました。
震災で家全壊を経験している私にとって、「家」に一番求めるもの、それは「デザイン」でも「広さ」でもなく『安全(強度)』です。
その強さから本当は重量鉄骨造が良かった私ですが、予算の関係で木造にしました。
私はT社長から
「木造3階建は木造の中では安心ですよ。構造計算が法律で義務付けられていますから。木造2階建は構造計算が要りませんから、業者の経験・勘で建てられます。業者の力量しだいで、家の強さに差が出る可能性があるのです。」
ということを聞かされていました。
”法律で決められている”という構造計算の安全神話が、木造3階建を信用した私の心のよりどころだったのです。
その構造計算が偽装されていた・・・
検査機関もそれを見抜けなかった・・・
ほとんど検査していない実態が明らかになった・・・
こんなことがまかり通るなんて・・・
ビルダーとの信頼関係という微妙な心の糸を、強く、太いものに成長させようとしていた矢先の事件。
もちろん不安が募りました。
「駆け引きなしで、真正面からぶつかろう」
そう心に決めていた私は、次の打ち合わせを待たずに、T社長へ不安をぶつけたのでした。
・・・つづく

間取りプランがほぼ確定しました。
相変わらず私は言いたいことを言っております。
「トイレにはこんな棚を付けて欲しい」
「窓際に造り付けのカウンターを付けて欲しい」
「布団収納を作って欲しい」
・・・などなど
私と事業主T社長は、ここまでのプロセスの中で見積のやりとりはおろか、金額の話を一切しておりません。
土地の契約をするときに、家づくりの総予算として一度だけ伝えているだけです。
私は自分の決めた予算以上は払うつもりはありませんし、むしろそれ以内に抑えるにはどうすればいいんだろう?ばかり考えています。
実は私自身、
「いろいろと注文を出してるけど、予算的にどうなんだろう???」
と、いつも思っていました。
ある日突然T社長から見積が出てきて、
「リックルハングさん、ハイこれ見積です。やっぱりご要望を組み入れていくと大幅にオーバーしましたねぇ
」
と言って、とんでもない金額が出てくるんじゃないか?と内心ビクビクしていたのです。
一番大事な”予算”について、これまで少し逃げていたのです。
間取りや立面がほぼ合意に至ったある日、事業主T社長から、始めてお金の話が出ました。
「一応今日までの仕様は、リックルハングさんの目標の予算内にできるよう我々で努力します。ウチとしても、これから構造計算をかけて、はじめて原価が見えてくるので、これまでお金の話をして来ませんでした。しかし、ここまで来て積算してみたら予算オーバーしてました・・・どうしましょう?ではリックルハングさんも困ると思います。ですので、ここまでの分は責任を持って予算内に納めるよう努力します。逆にここからの仕様追加は、追加見積とさせて下さい。」
これまた、疑い深い私には疑念を抱かせる展開でしたので、これまでの予算に対する疑問をストレートにぶつけました。
「ところでT社長、見積って出るんですか?」
「いえ、出ません」
「そういうもんですか?」
「よそさんは知りませんが、ウチは建築条件付でやらせてもらう場合はこの進め方です。」
「見積出してって言ったら作ってくれるんですか?」
「作るつもりはありません。ウチは小さな会社です。そこにムダな経費・労力をかけるよりも、他でサービスできることがたくさんあります。今日以降の追加や減少は、プラス見積、マイナス見積として都度お出しします。」
「ふ〜ん」
見積なき家づくり・・・この進め方が良かったのか?悪かったのか?は正直分かりません。
これが建築条件付の場合の、工事請負契約のやり方なのかどうかも分かりません。
ただ、私は自分が信じて入念に選んだこの業者、T社長。この選択肢に自信を持っています。
ですから、この進め方を堂々と受け入れたのでした。

間取りプランを中心とした図面の改定を2ケ月の間に合計6回・・・
「Y先生怒ってないかなぁ?」
T社長に「細かい人やなぁ・・・」って思われてるだろうな??
なんて思いながらも、設計のY先生、事業主T社長とまさにガチンコで意見を交わしました。
間取りに関する打ち合わせをしていて思ったのは、やはり注文住宅の醍醐味は、この間取りプランへの施主参加だということ。
最近はマンションでも建売住宅でも、設備仕様は比較的選択肢が与えられるようになりましたが、間取りや家の外観デザインは選べません。
なぜなら、売りに出すときにはすでに建築確認を通しているからです。
まれに建築確認前で売りに出されるケースで、「今なら間取り変更可」というのもありますが、これも小変更だけです。
水まわりが動くような間取り変更は間違いなくNGでしょう。
間取りプランに施主が参加できることは、自分たちの「ライフスタイルに合わせて家づくりができる」ことを意味します。
自分のライフスタイルに合わせた家・・・子供2人、犬1匹、この家族が家の中をどのように占有するのか?自分たちで決められるのです。
「自分たちに合わせて家をつくる」
「自分たちに合った家を探す」(=家に自分たちを合わせる)
今の本山の家は後者でした。
この違いに喜びをかみしめながら、間取りプランは6回の改定を経て、ようやく納得のいくものになったのでした。
この頃から、私の情報収集癖が再び活動し始めます。
これまでは「物件検索の鬼」と化して、より良い土地探しに執念を燃やしていましたが、今度は家づくりの情報収集です。
間取りプランの時は、「良い間取りのつくり方」とか「失敗しない間取り」といったたぐいのネット情報や雑誌を読み漁っていました。
日頃まったく気にしていなかった近所の家の外観や外構、照明、建築構造などキョロキョロ見渡すようになりました。
毎日通勤ルートを変えて、いろんな家を見てイメージし、参考にしていました。
家づくりを経験された方は皆そうだと思います。
今まで気にも留めていなかった近所の家のバルコニーの形を見てみたり、
樋の色、素材・・・
エアコンの室外機の設置場所、配管の感じ・・・
電柱からのインフラの引き込みの感じ・・・
家づくりのイベントの都度、都度でキョロキョロ眺めていたはずです。
家づくりでは前もって多くの情報を仕入れ、具体的にイメージすることが大切です。
家づくりがスタートすると、決められた期間内に多くの選択肢を施主が判断していかなければならないのです。
事前によく勉強しておくこと、これは施主の努力のひとつとも言えるでしょう。
勉強しない人ほど、家が建った後でクレームをつけます。
「こんなはずじゃなかった・・・、もっとこんなイメージだと思ってた・・・」
ちゃんと勉強していれば、その仕様がどんなものかを十分に理解して選択しますからクレームは少ないのです。
そのことを自分で分かっている人は案外少ないのですが・・・

我が家のさんざんなワガママが盛り込まれたであろう、初めての設計プランが設計のY先生の手から上がってきました。
間取りを中心とした「平面図」と、外観を中心とした「立面図」です。
まず、立面図を見て、そのデザイン性に目を奪われました。
「カッコいい・・・。私の趣味よく分かってくれてる・・・
」
今の本山の家の見た目がとても貧相なので、特によく見えました。
よりなにより、これまで長い間温めてきた理想の家のイメージが、図面になって実際に自分の目の前に出てくると、なんだかうれしさがこみ上げてきてワクワクしました。
しかも、図面には
『芦屋○○町 リックルハング邸新築工事
』
って書いてあるじゃないですかっ!!
これには私も妻も、図面の中身よりその文字に二人でヒソヒソ盛り上がりました。
喜びで顔が半ニヤの状態で、締まりの悪い顔になっていたはず。。。
「建物のイメージはどうですか??ここはこうで・・・ここんとこはこうなって・・・という風にしてみたんですけど」
設計のY先生がまじめな顔で説明してくれます。
「カッコいいと思います(キッパリ)!!全体のイメージは私の好きな感じです!
」
家のイメージがカッコよかった喜びと同時に、Y先生のセンスが私を満足度を高めてくれる可能性を大いに感じ、リックルハング家の家づくりスタッフに恵まれた喜びをかみしめていました。
立面図から建物の基本的な形は、1回目のプランでほぼ決まりました。
間取りを中心とした平面プランはもちろん1回では決まりません。
今住んでいるの本山の家は戸建です。
そもそも私は戸建に住んでいながら買換えを検討したのは、間取りが悪く使いにくかったからです。
ですから間取りプランに対する思いや希望は、具体的に細かくイメージしていました。
当然、Y先生にもその希望や要求は事細かに伝えていました。
しかし、1回目の平面図はあまり納得のいくものではありませんでした。
方向性は悪くなかったのですが、私の満足レベルが高すぎるのかも知れません。
この日から私は新居での生活シミュレーションの日々がスタートします。
間取りプランにおいてはイメージ力が成功の秘訣です。
一日のスタート朝起きてから、夜寝るまでの生活を、図面を見て徹底的にイメージしました。
「不便なところはないか?」「生活導線に無理はないか?」
自分にも、妻や子供の行動パターンをイメージし、シミュレーションです。
主にこのイマジネーションは往復の通勤電車の中で膨らませていました。
間取りと生活を繰り返しイメージし、図面に修正案を加筆していきます。
そして自分なりに案がまとまれば、事業主T社長へ私の作った修正図面をFAXします。
その後、私の修正案が盛り込まれた平面図改訂版が出てきて、また打ち合わせ・・・
という具合です。
この図面の改定を2ケ月の間に合計6回やりとりし、書き直してもらいました。
「こんな細かいこと言って、Y先生怒ってないかなぁ・・・
」
つづく・・・

もうひとつ事業主T社長に感動させられたこと・・・・・前回のつづきです。
家づくりの打ち合わせをはじめて最初の頃、私はT社長、設計のY先生のことをたくさん知り、情報を頭にインプットするために質問をしまくっていました。
そんな中で、この会社はT社長が2代目で、T社長のお父さん(T会長)が立ち上げた会社だということを知りました。
T会長は今は倒産した元大手ハウスメーカーでエライさんだったらしく、その会社の倒産後にこの会社を立ち上げたそうです。
今も会長は健在で、実はあのカッコいいBMWの四駆も会長の車だそうです。
設計のY先生がよく口にしていました。
「中途半端な妥協は、お施主さんより先に、会長に叱られる。会長はプロ中のプロだからごまかしが効かないんですよ
」
「ふーん、会長ってどんな人だろう???」
そんなある日、我が家の休日に一家で散歩がてら、新居となる土地(まだ更地)へ遊びに行きました。
真夏のとても暑い日でした。
お気に入りの公園から我が土地が見えます。
「ん?誰かいるぞ??」
初老のおじさんが農作業のカッコをして、柵を越えて私の土地に入っています。
そこでせっせと雑草を刈っています。
真夏でボーボーに伸びた雑草を、一人でテキパキと刈り取っていきます。
刈り取った草は麻の袋に詰め込んで、この炎天下にたった一人で回りには目もくれず・・・
その日の夜、T社長から電話がありました。
「すみません。先に言っとくべきでしたが、ウチの会長がリックルハングさんのところの草刈りに行ってます。
しばらく行くみたいです。
リックルハングさんよく現地に行かれるとお聞きしていましたので、報告だけしておきます。
怪しい者じゃありませんので・・・」
「・・・っえ!今日も居ましたよ。あの人会長っすか?
すごい野良仕事で、ドロドロになって草刈ってましたよ・・・」
「あっやっぱり今日も行かれてたんですね。あれ親父です。汚くてすみません。。。」
「いえ・・・、別に悪いことしてるわけじゃないし、ありがとうございます。」
正直びっくりしました。
「あの小汚いおじさん、ウワサの会長ですか???
設計のY先生もおびえる、家づくりのプロ中のプロ・・・?」
会長自ら草むしり・・・このクソ暑い中。
そんなの工事が始まれば業者がやるだろうに・・・
そして次の日、妻が散歩がてら、また我が土地に行って見ると、また会長が汗だくになって一人で草むしり。
妻が「こんにちわ!!
」と声をかけても、軽く頭を下げるだけで、誰なのか気に留める様子も無く、また黙々と作業。
しかも、今日はあのBMWの四駆を横付けして、刈り取った雑草を麻袋に入れて、次々と車に詰め込んでいたらしい・・・
あの高級車にドロだらけのの雑草を・・・
私が次の週末に見に行ったときには、雑草刈りはすっかり終え、見事にきれいな更地になっていました。
うれしかったです。この土地が輝いて見えました
そして、年輩の会長自らがこういう事のできるこの会社を信用できると確信したのは言うまでもありません。

私は家づくりの打ち合わせを重ねながら、事業主T社長、設計のY先生の人間性を深堀りすることを模索していました。
私は建築条件付き土地の売買契約を結んだだけで、まだ、家を建てる契約(工事請負契約)を結んだわけではありません。
3ケ月以内に工事請負契約を結ばなければ、土地の売買契約は白紙撤回になるのですから、十分に時間をかけて信用できる業者かどうかを見極めることを心に決めていたのです。
ところが以外にも早い段階で、T社長を完全に信用できる人間だと確信する出来事がありました。
T社長が熱く自分の家づくりビジネスのこだわりを語っていたときのこと・・・
「最近の地価高騰を受けて、同業者にも転売目的で土地を仕入れる人が多くなってきました。
いわゆる土地転がしです。バブルの時は多かったんですが・・・
土地を5000万で買って、6000万で売っているんです。
何もしないで横流しです。
これって私としてはやりたい仕事じゃありませんよ。
土地を仕入れて、ウワモノを建てて売る。その土地に魂(付加価値)を吹き込んで売るからおもしろいんです。
横流しはちょっと・・・儲かるみたいだし、ちょっとやってみたい気もしますけどね
」
いわゆるポリシーってやつです。。。が、
これはまあよくある話で、もしかしたらセールストークかも知れませんし、この程度の論述で100%信用するほど私は単純ではありません。
核心はこの後です。
「ホント土地の仕入れが難しくなりました。いい土地は大手が真っ先に押さえますからね。僕らはニッチな土地をなんとか仕入れて頑張ってます。
リックルハングさん、この物件も芦屋市の市有地の一般競争入札で頑張って取りました。
でも土地に関しては私んトコはほとんど経費乗せてません。実際にかかった経費(登記費用など)分だけ上乗せして売りました。
あとは建物建てさせてもらって、そこで少しでも儲けさせてもらえれば・・・
」
>ほとんど経費は乗せてません・・・
T社長はこの土地に対して、利ザヤはほとんど乗せてないと言いました。
営業をやっていればよく使うトークです。
私も使うことがあります。
「○○さん、これはほとんど原価ですよ。ウチの利益はすずめの涙ほども乗ってません・・・」
なんて。。。こんなのウソ八百です。
きっちり必要な利益は乗せています。
値引きされたくないときに使う営業トークなのです。
T社長の発言、私も最初は営業トークだろうと思っていました。
しかし、、、
本当だったんです。。。
この土地の原価情報を入手したんです。
T社長がこの土地をいくらで買ったのかが分かったのです。
この土地は芦屋市の市有地一般競争入札です。
入札結果がネットで見れるはずだと、ひょんなことから気が付いて調べてみたんです。
そしたら・・・・・ありました。
インターネット上で、入札に参加したすべての人の応札額が公表されていたのです。
もちろん落札は最も高額で応札した金額です。
T社長の入れた金額です。
「ホントにほぼスルーだぞ・・・・・・これ土地だけだったら利益絶対ない。。。ボランティアと同じじゃないか・・・あの社長、まじめというか何と言うか・・・」
その後から、私がT社長という人間を信用し始めたのは言うまでもありません。
さらにもうひとつ。このT社長に感動させられたことがあります。
つづく・・・

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Author:リックルハング
生まれ育ちは神戸、現在は芦屋在住。
1972年生まれ。妻と子供2人、愛犬1匹と暮らす、ごく普通のサラリーマン。
ファイナンシャルプランナー(AFP)
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